魂
作り手の魂や思いが、作品にはこもるものだ。
さて先日の話であるが、メタルギアの生みの親である、小島秀夫監督の最新作、デスストランディングがプレイステーション4にて、2019年11月8日に発売と発表されて、監督のファンにとっては、いよいよ待ちに待ったものがやってくるといった感じだろうか。
それだけではない。
何と、2020年の初夏には、PC版も発売されるという事がアナウンスされた。
PCゲーマーにとっては、これまた嬉しい知らせである。
実は私、小島監督の作品は子供の頃から触れていた。
当時は、小島監督が作ったゲームとは知らなかったが、初代メタルギアである。
友人の家でプレイさせてもらい、隠れながら進んでいくという従来のアクションゲームとは一線を画したシステムに、子供心ながらに『面白いな!』と感じたものだ。
それから時が流れ、スナッチャー、ポリスノーツ、メタルギアソリッド、2、3、ピースウォーカー、4、5等々、これまでプレイしてきた。(他にも色々!笑)
特にはまりまくったのがPSのメタルギアソリッドで、『スネーク!まだだ!まだ終わってな~い!!』というリキッドスネークの台詞を真似しては過していた懐かしい思い出もある。
メタルギア5(ザ・ファントムペイン)が、不完全燃焼で終わってしまった経緯は私にはよく分からない。(コナミは5をリメイクする計画があるとか何とか・・・)
一説によると、コナミと監督との間で確執があったから(中途で開発を打ち切られた)とも言われてもいるが、真相は分からない。
ただ私が思う事は、あれだけの才能を持った人が退社してしまった(退社に追い込まれたのかも知れないが)という事は、コナミにとっては大きな損失である。
優れた才能を持つ人材は、そう簡単には見つからないものだ。どうも日本の企業は人材を大切にしない節がある。もちろん全てではないと思うが・・・。
『小島(監督)がいなくても、メタルギアは作れる!』とコナミは断言したらしいが、その後に出た、メタルギアサヴァイブは果たしてどうだっただろうか?
私もプレイしてみたが、正直に感想を言えば『滅茶苦茶クソゲーという程ではないが、内容の浅いゲームだ』という事である。
何ら重みが感じられなかったのだ。重みというのは、作品に込められたテーマや伝えたい事等である。
中には『小島の作品は、説教臭い』という意見もある。要するに、ゲームだから固くなるなと言いたいのだろう。
いやそれは違う。映画にしろゲームにしろ、一つの芸術作品だ。
芸術作品であるならば、そこには上述したようにテーマや伝えたい事がなければならない。
これらが入っていないと、魂が抜けた状態であるのと同じだ。魂が抜けたものを観たり触れたりして、何を得られるだろか?後で何を感じられるだろうか?
何もないに違いない。
監督の作品は、きちんとそれらを踏まえた上で、遊び心も満載である。実際にこれまで遊んできて、良い意味で驚かされたという事は枚挙に暇がないほどだ。
メタルギアはメタルギアである。監督以外の人でもメタルギアとして作ったならば、確かにメタルギアではあるだろう。
しかし、いくらメタルギアだといっても、そこにはメタルギアが伝えていきたい事やテーマ等が存在しているかどうか。
名前だけはメタルギアだが、それは『メタルギアという名前のついた別作品』ではないだろうか。もはやメタルギアは名前やブランドだけにはとどまらない存在なのだ。
小島監督の魂や精神、そして愛情があのタイトルにはこもっていて、他の誰にも、それは絶対に真似する事はできない。
だからこそ世界中で、あれだけファンの皆に愛されたメタルギアであり監督であるのだ。
断っておくが、私は小島監督の熱烈なファンというわけではない。
ただ、子供の頃から遊んできて、色々な感動を与えたもらったタイトルが、このまま落ちていくのは悔しくて仕方がないのだ。
いつの日か、監督率いるプロダクションが、コナミからメタルギアの版権を買い取って、新しいメタルギアの制作に取り組んでいただける事を願ってやまない。
BIG BOSS、スネークの意志は永遠に不滅である。